「階段を使ってまで食べる店はない」と決めているでぶんが、今日だけは少し早足だった。むさしの あぶらがくかい。油そばの専門店。のれんの向こうから、ごま油の香りが手招きしている。
① 入店 ーー でぶん、のれんをくぐる
階段は使わない。でも、今日だけは特別だ
でぶんの基本姿勢は省エネ。エレベーターがあるならエレベーター、階段があるなら見なかったことにする。けれど、油そばの匂いというのは、足を勝手に動かす不思議な力を持っている。気づいたら、もう店の前に立っていた。
行列ゼロ、これもう運命
でぶんがいちばん苦手なのは「立って待つこと」。それは運動だからだ。今日は行列がなかった。つまり、今日食べることは、最初から決まっていたのだと思う。
「特濃」の文字に、お腹がぐぅ
メニューに「特濃油そば」の文字。ここだけは譲れない。薄味でごまかすつもりはない、という店の覚悟が伝わってくる。お腹が小さく「ぐぅ」と鳴った。これが、でぶんにとっての拍手である。
② 対面 ーー 油そばと運命の出会い
極太麺、その重さに安心する
運ばれてきた一杯。箸で持ち上げた瞬間のずっしりとした重みが、なぜか安心する。軽いものより、重いもののほうが「今日はちゃんと食べた」と思えるからだ。
ごま油の香りで、もう勝っている
ふわっと立ちあがる、ごま油と自家製ラー油の香り。食べる前から、もう勝負はついている。味わう前に幸福が始まる、というのが油そばの強さだ。
トッピング選び、自由という幸福
トッピングは全部のせても、誰にも怒られない。
- マヨネーズ(こってりに、さらにこってりを重ねる勇気)
- にんにく(明日の予定を見ない人のための選択)
- 背脂(重さを味方につける、最後の一押し)
- 卵(まろやかさという、やさしい裏切り)
選ぶ自由があるというだけで、もう半分くらい満たされている。
③ 実食 ーー まぜる、もぐもぐ、世界が静かになる
まぜた瞬間の幸福
たれと油が麺にまとわりつく、あの瞬間。ひと口食べる前から、もう勝っている。でぶんの口角が、0.2mm上がった気がする。気がするだけで十分だ。
噛むほど増える味、もぐもぐの哲学
「咀嚼は、自分への拍手だ。」太い麺は噛みごたえがあり、もぐもぐの時間が長い。もぐもぐが長い=しあわせが長い。これは、でぶんが長年かけて辿りついた真理である。
スープがないから、最後まで濃い
油そばにはスープがない。だから味が薄まらない。最後の一本まで、濃いまま生きている。これくらいの一貫性は、人生にもあっていいと思う。
| 重さチェック項目 | 内容 | でぶん満足度 |
|---|---|---|
| 麺の太さ | 噛みごたえ十分の極太麺 | ★★★★★ |
| たれの濃度 | 軽さより「しっかり感」重視 | ★★★★★ |
| ごま油・ラー油 | こってり好きに刺さる構成 | ★★★★☆ |
| トッピング自由度 | 全部のせても許される世界 | ★★★★★ |

④ 完食 ーー 「今日のぼく、よくやった」
完食という小さな勝利
器の底が見えたとき、小さいけれど確かな勝利感がある。誰かに自慢するものではない。でぶんだけが知っていればいい勝利だ。
お腹も心も満タンの構造
お腹がいっぱいになると、なぜか心まで落ち着く。栄養バランスより、心のバランス。これが、でぶんの食生活における唯一の方針である。
カロリーは裏切らない
「ダイエットは、明日からでいいよね。」カロリーは裏切らない。食べたぶんだけ、ちゃんと心が満たされる。これだけは、でぶんが信じてやまない真実だ。
⑤ 余韻 ーー でぶんが見つけた答え
「また食べたい」はすぐ来る
店を出て、まだ数分しか経っていないのに、もう次に食べたい気持ちが顔を出している。油そばは、帰る場所だ。
プリンは、答えだ(デザートタイム)
満腹のあとでも、プリンの席だけは空けてある。プリンは、答えだ。正解を求めて悩む必要はない。プリンの前では、すべての問いが静かになる。
今日はこれでいい、という真理
丁寧な暮らしも、健康的な食生活も、もちろん素晴らしい。けれど、コンビニのプリンでも、最高に幸せになれる日があっていい。がんばらなくても、いていい。今日のでぶんは、それを確かめにきただけだった。


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